インタビュー

未来を捉える、卸とメーカーのメリットを兼ね備えた会社を目指して。

ツタハラさんは久宝寺町でいつから事業をされているんですか?

弊社は1944年に私の祖父が玉造で創業しました。南久宝寺町に移転したのは1952年です。
祖父はもともと愛媛県から船場の袋物問屋へ丁稚に来ていましたが、戦時中に革製品が統制品になったのを機に勤め先が袋物の商売をできなくなり、独立せざるを得なくなったそうです。

南久宝寺町へ来てからはバッグ・袋物の現金問屋として発展しました。
古いお客さんの話を伺うと、昔は九州から夜行列車に乗って風呂敷担いで仕入れに来ていたようです。帰りは弊社の社員が大阪駅まで自転車で商品を持って行って、列車の窓から商品を押し込んでいた…なんて聞いたことがあります。

私自身は1980年に南久宝寺町で生まれまして、ずっとここで育って今に至ります。
子供心に、南久宝寺町が賑わっていたのは覚えています。
子供の頃は駐車違反が酷く、二重三重に車が停まっていていつも渋滞していましたので、タクシーが南久宝寺町に入りたがらなかったりしてましたね。

卸売問屋として生き残れた秘訣、みたいなものはあるのでしょうか?

南久宝寺町の中では弊社は東の端にあります。南久宝寺町にはバッグの会社が何社もありますので、問屋街が賑わっていた頃でも、小売店さんが問屋街を回られた後、最後にうちに来られて他になかったものだけを仕入れる、というような使われ方をしていたようです。
それではダメだ、ということで1970~80年代の現金問屋としては珍しく、積極的に出張営業に出て行くスタイルを取り入れていました。割と早くから今に近いビジネススタイルを取っていて、現金のお客さんも居つつ、売掛のお客さんも多かった、ということが生き残っていく”何か”に繋がったのではないでしょうか。

私が入社した2005年ごろからは、メーカーから仕入れて小売店さんに卸すだけの商売であったのを「弊社で買っていただく理由」を作らなければならないと考え、自社企画商品を増やしていきました。
商品企画においては中国生産が世の中の主流でしたが、現地の工賃の値上がりなどを考えると、そのうち国内で生産するのとほとんどコストが変わらなくなるだろう・・・という予測の元に、いち早く国産回帰に取り組み、国内の工場の発掘にも力を入れました。
永く商売をしているおかげで、国内メーカーとの繋がりが多かったというのも奏功しました。
この予測は的中しまして、世の中の国産回帰の流れにうまく乗ることができました。国内の工場はキャパが限られています。今から急に国内に生産拠点を戻そうとしても難しく、それができる会社を探しておられる方は多いようです。最近では大手アパレルなどのお客様からバッグや財布の国内生産のOEMについてお問い合わせいただくことも増えています。

その2点を踏まえても、生き残る秘訣は「タイミング」と「未来をいち早く見据える仕事のやり方」だったのではないでしょうか。
やむにやまれず取り組んだことも勿論有りますけれど…、結果としてはよい動きに繋がったかもしれません。

蔦原さんは普段どういったお仕事をされているんでしょうか?

今は色々な業務を統括していますが、入社して一番最初に手がけたのはEC事業の運営です。いわゆるネットショップですね。
私たちがネットショップを始めた当初は問屋がネットショップをやって消費者へ直販するのはいかがなものか、という風潮がありましたが、今では当たり前になってきました。
卸業の会社がネットショップを持っていることは、小売店さんにとっても幾つかメリットがあります。マーケットの生の声をものづくりにダイレクトに反映させることができます。また、売り場に限りがあるリアルショップと違って、ネットショップには制限がないため、旬を過ぎてしまった商品でも自社のネットショップの売り場で気長に売り続けることが出来ます。なので旬を過ぎた商品を小売店さんにお願いして無理に売ってもらったりすることが減りました。

2011年ごろからは、自社オリジナル商品の開発に力を入れています。特に日本国内の生産拠点とのリレーションの向上をはかっています。
2016年春からは「人に、自然にやさしい。JAPAN QUALITY.」をテーマにしたブランド「ARCOLO(アルコロ)」を立ち上げました。日本国内の環境に配慮した自然素材だけを使用したバッグを取り揃えています。

今後の課題などを教えて下さい。

南久宝寺町で長く続けられている会社は、自社に企画機能を持ちオリジナル製品を中心に商いをされている・・・つまりメーカー化しているところが多くあります。
弊社も仕入れて売るだけの商売から脱却して、メーカー化を進めていくことが課題の1つなのですが、ただメーカー化するのではなく、弊社を選んでもらう理由をより一層しっかり作りこんで「小売店さんにとって魅力のある会社」にならなければなりません。
また弊社には常時1,000品番以上のレディースバッグの取り扱いがあって、かなり幅の広いラインナップの商品をお仕入れいただけるんですが、これは問屋的品揃えのメリットですね。150社以上ある弊社取引先の国内外バッグメーカーさんの商品を、弊社1社と取引するだけで仕入れることができます。自社企画商品だけで構成されたメーカー的品揃えとは違うところです。
自社企画商品を充実させつつ、かといって完全にメーカー化するわけでもなく、問屋のメリットとメーカーのメリットの両方を兼ね備えた会社を目指しています。

マーケットにとって、有益な商品を提供できる会社であり続けること、それが最大の課題です。商品力であったり、企画力であったり、色々な切り口があり得ますがお客様の声を聴き、マーケットの流れを予測し、社員全員が考え、全員が動ける会社にならなければならないと思います。

㈱ツタハラ
中央区南久宝寺町 1-3-8
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電話番号
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